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どのような行為がセクハラと認定されるのでしょうか?

いわゆるセクハラが会社内で起きたときには様々な問題が起きます。①セクハラをした社員に対して会社が何らかの処分をすることが出来るか、或いはしなければならないのか②セクハラをした社員に対して、被害者は損害賠償請求が出来るのか③セクハラを受けた社員が会社に損害賠償を請求出来るのか、という形で問題となります。

 


1 セクハラと認定される判断基準はどのようなものでしょうか?


セクハラ行為があったかどうかは、パワハラなどと異なり意外と難しい問題を含みます。セクハラの場合は他の従業員の面前に行われる、というのは余り多くなく、密室であったり当事者間だけでのやりとりの中で起きることが多いからです。
ラインなどのSNSなどにその痕跡が残っていれば容易に証明が出来ましょうがそうでない場合は、「言った。言わない。」「やった。やらない。」という世界になり、難しくなりやすいといえます。
セクハラとして違法か否かの具体的な判断基準は、あくまで「平均的な女性労働者の感じ方」、「平均的な男性労働者の感じ方」を基準としています。ですから、何となく世間で言われているように、「相手が嫌だと言えば、それはセクハラだ。」ということは正しくない理解といえます。あくまで平均的な男女を基準として判断されます。更に、労働者が明確にやめて欲しい旨を示しているにもかかわらず、執拗に行われる性的言動はセクハラと解され得ます。
違法であると判断された例としては、身体に触ったり、わいせつ行為に当たる行為や性的言動を繰り返した場合、長期間にわたり強引かつ執拗に肉体関係や交際を求めた場合、女性従業員の会社内の性的関係を邪推し噂として流布した場合、などがあります。

 

2 セクハラと認定されたとしても、加害者は解雇されるのでしょうか?


まず、セクハラ行為を理由に加害者を懲戒処分や懲戒解雇するには、就業規則が存在した上で、その懲戒事由にセクシャルハラスメントが明記されている必要があります。
他方、そのような就業規則所定の懲戒事由が存在する場合であっても、当該具体的事情の下において、懲戒解雇が厳しすぎるときには無効となります。通常解雇であっても、同様に、厳しすぎるときには無効となります。
具体的には、宴席等で女性従業員の手を握ったり、肩を抱く程度のものの時は、懲戒解雇は重すぎるとして無効とした裁判例があります。また、当事務所で扱った事案においては、おしりを軽く触ったり、二の腕を触った事案で懲戒解雇は重すぎるとした労働審判がありました。

 

3 会社が被害者から損害賠償請求を受けるかという問題について


当該加害者の使用者としての責任を会社が問われることは十分にあります。また、会社が、セクハラが生じないようにする義務を怠った、或いは、起きていたセクハラを積極的に止めるように動かなかったという義務を怠ったとして、会社の責任が追及されることは当然にあり得ます(職場環境の維持整備を怠ったという安全配慮義務違反として構成されます。)。会社にセクハラ倫理規定があったか、それを実現するべくどのような対応を普段からしていたか、現実に起きたセクハラについて被害者側から何らかの申し出を受けていたか、受けていたときに具体的にどのような対応を取ったのか、という視点で判断されていきます。