従業員が退職しているか否かに関わらず、当該残業代を支払うべき賃金支払日から起算して2年間以内の残業代については、支払わなければなりません。
残業時間を立証できるもの(タイムカードや業務日誌など)や雇用契約、就業規則、賃金規程など残業の証拠となるものがあることが大前提ですが、労働者の賃金請求権の時効については労働基準法第115条において「賃金(退職手当を除く)や災害補償その他の請求権は2年間」と定められており、残業代もこの賃金の中に含まれ、請求権が2年間であることになります。残業代を含む賃金一般は2年間・退職金は5年間(115条)が消滅時効の範囲となります。
また、消滅時効とは一定の期間の経過によって権利を消滅させるという時効制度のことをいい、時効の2年間カウントが始まる時点を起算点と言います。起算点は、残業代を含む給与支払日です。
例えば、20日締めの月末払いの場合、平成29年7月21日から8月20日までの期間に発生した残業代の請求権は、同年8月31日から請求することができることになります。平成31年8月31日を過ぎると正当な残業代支払い請求があったとしても時効を迎えているため、支払いの義務はなくなります。