お問い合わせ 相談は何度でも無料、電話相談可:03-6262-5588

労働審判はどのような人が利用できますか?

個人ならほとんどの場合利用できます。

労働問題は、大きく2つに分けることができます。

1つは、賃金・残業代の未払いや法定労働時間等の労働関係法令に関する争いです。この場合は、労働基準監督署に申告することになります。
労働問題のもう1つは、会社を解雇されたり、労働条件の変更等のような民事上の争いです。この場合において、会社(事業主)と個々の従業員との間に起きた労働関係の争いのことを「個別労働関係民事紛争」といいます。たとえば、さきほども挙げました解雇がそうであり、雇い止めも含まれます。労働条件の変更、出向や配転、賃金の不払いもこちらに該当するケースもあります。
このような争いに関して、訴訟よりも短期間に、事案の実情に即した柔軟な解決をする仕組みとして作られたのが「労働審判制度」です。

ですから、労働審判を利用することができるのは、個人ということになります。労働組合が会社(事業者)と争うことは個別労働関係ではないので労働審判で争うことはできません。

ただし、個人といえども、公務員法を適用される場合は対象外です。
しかしながら、個人だからといって、どんな労働問題でも労働審判手続を申し立てればよいというわけではありません。労働審判手続以外にも、労働紛争を解決する手段があるからです。たとえば、裁判所でおこなう手続きとしては、民事訴訟、民事調停、支払督促といった方法が利用できます。裁判所以外の機関による手続を利用することも可能で、都道府県労働局の斡旋(あっせん)等がそれにあたります。

労働審判は基本的に最大3回までの審理をおこなうことになっていますから、3回の審理だけでは解決することが難しそうな事案については、最初から訴訟を起こすということを視野に入れておく方がよいケースもあるわけです。民事調停を選択するのであれば、第三者が間に入ったうえで時間をかけて話合うことができます。また、少額(60万円以下)の金銭の支払いだけを要求するようなケースならば、少額訴訟をおこなうことで、1回の審理で解決することができるのです。

労働審判を選択した方がいいのか、それとも他の手続きを選択した方がいいのかということは、それぞれ個別に判断しなくてはいけないため、弁護士などに相談し、適切なアドバイスを得る必要があります。労働審判の申し立てにおける弁護士の選任率は8割を超えており、早く適切に労働問題を解決するためにも弁護士を代理人として臨むケースがほとんどです。時効により権利が消滅する前に、まずは弁護士に相談することから始めてみてください。