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労働審判制定以前の紛争解決方法について教えて下さい

手続きの煩雑な業務が多く存在しました。

労働審判とは、労働者と使用者間の労働に関する紛争を短期間に、かつ比較的簡単な手続きで解決する手段です。2004年に制定され、2006年4月1日から施行されました。簡単な手続きで短期に解決する事が趣旨ですから、審尋には裁判官1名と、労働審判員と呼ばれる労働団体および使用者団体が推薦する者2名によって、原則として三回以内の審尋で結論を導きます。申立の方法は、申立書を裁判所に提出すればよいだけなので、とてもシンプルな制度設計になっています。基本的には弁護士の力を借りる必要がないという点も、この制度のメリットとして言われています。労働審判の制度が制定される以前は、解雇事件などで短期の紛争解決を求める場合には、賃金仮払い仮処分を申し立て、その審理の中で和解の話し合いを進めるというのが一般的な方法でした。労働者としては、当面の生活の糧を確保しておかなければなりませんから、仮処分によってこの点を担保しておく必要があるためです。これは、労働審判に比べると手続きも煩雑となり、弁護士に依頼しなければならないケースがほとんどだというデメリットがありました。

この点、労働審判では手続きの簡略化が図られているものの、短期間の解決のために審尋の回数が限られていることから、申立書の段階でかなり詳細に書き込んでおく必要が出てきます。制度として、審尋の中で争点の掘り下げることや、証人尋問が考慮されていないからです。従って、いくら弁護士なしに審判手続きが出来るからといっても、申立書の作成の段階から弁護士に依頼するというのが適切な対応方法だと考えられます。また、申立書を提出した後は申立書が相手側へ送達されて、相手側から答弁書が提出されます。もちろん、相手側も審尋の回数が限られている事は承知していますから、詳細な記載の答弁書が出てくる事が予想されます。従って、これらを読み込んで相手側の主張を整理し、審尋での争点を絞り込む必要が出てきます。この点を考えても、法律の専門家たる弁護士の力を借りるメリットは極めて大きいと言えるのです。